D坂の殺人事件

お盆で実家に帰る電車で、青空文庫から江戸川乱歩の「D坂の殺人事件」を読みました。
短編ですので、30分程度で読み終わることができました。

目次
概要(前半)
思考

図書カード:D坂の殺人事件

概要

明智小五郎の初登場作とのことです。
主人公の知り合いの探偵小説好きという形で登場します。

D坂の大通りの古本屋で起きた殺人事件。
現場への出入り口は複数あるものの、表は主人公が、裏口は路地の出入り口の店の主が、と各場所には不審人物の出入りがないことを証言する人がいます。
最初は付いていたランプが消えていたものの、ランプのスイッチには発見時にランプをつけた明智の指紋のみ。
古本屋で本を物色していた二人が、奥の部屋に怪しい人影を目撃しているものの、同時に見ていたはずなのに、証言した怪しい人物の服の色が全く違う。

前半は主人公の目から見た殺人事件の様子が描かれています。
そして、後半は数日後主人公が明智を訪ね、お互いの推理を披露し合うという構成になっています。

思考

ネタバレあり

物語の最初の方で、こういう噂話があってそれが事件に大きく関わっているから、というような記述があります。
ここ重要だからというのを先に出してしまうんだ、と少々驚きました。推理ものなんて、いかに些細なことをしっかり覚えておくか、という面があるものだと思っていましたので。

犯人の指紋がないのは、拭き取ったのかと思いました。家の人の指紋すら付いていなかったわけで、今ならたいていの人は「拭き取った」を連想するのではないかと思います。
それが、点けっぱなしだったから家の人の指紋がないのだろうと。で、主人公としては、明智が怪しいとなるわけです。
当時はまだ指紋の認知度が低かったのかな、なんて思いました。

目撃者の服の色が違う件ですが、薄暗いし脳内補正の仕方が違ったのかな、と私は思いました。二人とも柄なしの一色というのは共通していましたし。
主人公は、縦格子の隙間から見たので、うまい具合に縦縞の模様が一色に見えたんだと。
一方の明智は、人の記憶なんて当てにならないと。
覚えていようとしていたものではありませんし、記憶違いはあるでしょうけど、それするの? って感じでした。別々に話を聞いたのならともかく、二人がお互いに自信満々で言い合ってますから。記憶のあやふやさを使うのでしたら、「自分はこうだったと思うけど、そうだっけ」というくらいにしておいて欲しかった。もしくは、証言者を会わせないでおくか。

私としては、事実と証言から得られた情報で、そう考えるのもわかるという主人公の推理が、明智の「記憶なんてあてにならない」「たまたま条件が重なった」に負けたというのがなんとも。

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