青空文庫から江戸川乱歩の「怪人二十面相」を読みました。
Book Data
作品名:怪人二十面相
著者:江戸川乱歩
舞台:日本(昭和初期)
青空文庫 図書カード:57228
概要
ネタバレあり
世間を騒がす泥棒「怪人二十面相」の盗みの話です。
素顔を誰も知らない変装の名人が変装を駆使して盗みを働きます。
場面は大きく分けると4つでしょうか。
一つ目は家を飛び出した息子が帰ってくる嬉しさと、怪人二十面相からの予告状を受け取った恐怖が同時にやってきた羽柴家のお話。
探偵は登場せず、いい感じに追い詰めることができたものの……
二つ目は一つ目の続きです。名探偵明智小五郎に依頼をしようとしたものの、本人は外国に。代わりに助手の小林少年が、依頼を受けます。
こちらもいいところまで追い詰めることができたものの、逮捕までは至らず。
三つ目は、伊豆の日下部老人の話。怪人二十面相からの予告状を受け取った老人は、新聞で明智小五郎が伊豆に滞在していると知り、依頼します。
これは二十面相の圧勝。
ラスト四つ目は、二十面相が邪魔な明智小五郎を排除しようとする話。
最後は明智小五郎がきっちり決めてくれます。
思考
ネタバレあり
導入部分では、気持ちよく物語へと引き込まれました。
リズムが気持ちよくて。「さあさあ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい、物語の始まり始まり」という感じの、呼び込むリズムだな、と。
私が、脳内で音読再生派なので、余計にそう感じたのかもしれませんが。
児童向けの小説と言うこともあり、ルパン三世や怪盗キッドを見てきた私としては、「登場人物達よ、そいつが二十面相だよ」と言ってやりたくなる作品でした。
対象を考えれば、このわかりやすさがいいのだと思います。
携帯電話なんてない時代だからこそ、伝書鳩で連絡なんて発想になるんだろうな、なんて思ったり。
逆に、現代だったら、携帯電話で、電波が届かず連絡できず、なんてことになるんじゃないかと。
怪人二十面相は血が嫌いで殺しはしない、ということなのですが、犬に毒を食べさせて殺してるんですよね。
私としては、「殺してるやんっ」と思うのですが、殺しには含まれていない様子なんですよ。
今までは殺したことなんてなかったのに殺した、ともならず。その後も殺しはしないと言っているし。
まあ、この殺しはしないのおかげで人質は無事だったし、小林少年も無事だったし、明智小五郎を捉えても殺さなかったんですが。
最後は、明智小五郎が決めてくれるのですが、引き金が二十面相よ、もう少し考えろって感じです。
明智小五郎に恨みを持っているからって仲間に引き入れたり、自分が変装して潜り込むくせに、潜り込まれることは考えていなかったり。
明智小五郎が怪人二十面相の上を行ったと言うよりは、二十面相の方が下がった感じです。