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人間椅子

公開日:2016.08.10
更新日:

青空文庫から江戸川乱歩の「人間椅子」を読みました。
短編ですので、30分かからずに読み終わることができました。

Book Data

青空文庫 作品名:人間椅子
著者:江戸川乱歩
舞台:日本(大正)
青空文庫 図書カード:56648

青空文庫
作品名:人間椅子
著者:江戸川乱歩
舞台:日本(大正)
青空文庫 図書カード:56648

概要 (前半)

 ネタバレ回避にも、ここは前半までで。
 舞台は大正時代 (書かれた当時) の日本。ジャンルはホラー系といいますか、怖さで読者をドキドキさせるタイプの話です。

 作家の佳子の元へ届いた手紙の中の1通。
 その分厚さから、原稿が送られてきたのかと思いながら読み始めてみますが、どうも手紙のようです。

 送り主は、自称椅子職人で、手紙の内容は、その送り主が行ったこと。
 ある時、椅子の中に空間を作り、そこに潜んで納品先へ行き、盗みを働くことを思いついた送り主はその思いつきを実行します。
 納品先のホテルでいい感じに盗みを働く一方で、自分の潜んだ椅子へ座った人へ恋心を抱くようになります。

思考

以降ネタバレあり

 タイトルが「人間椅子」で、椅子の中に入ったという手紙が送られてきたら、これはもう佳子が座っている椅子に入っているでしょう。そう思って読み進めて、ほらやっぱりとなっていたら、最後に創作でしたと。
 でも、だからといって最後のをそのまま信じることもできず、さて入っていたのか、そうではなかったのか……。
 こういう、最後が「でどっちなんだよ?」ってなるのはわりと好きです。どうなんだろうと考える余地が沢山あるので。

 で、頭の中でグルグル考えてみたわけです。
 一番、邪心なく考えれば、2通目の手紙 (創作) を信じることになるのですが。
 けれども、本当に椅子にいて、会いに来なかったので2通目を出したとも考えられます。
 でもでも、そんなに長く椅子にいたのなら、家の食料が減っていたりしますよね。すると、何かおかしいとなっているはず。
 1通目で動きが悪くなっている旨を書いているのだから、そこを信じれば抜け出して以降の行動がちょっと無理ですし。

 ああだこうだと考えて、行き着いたのがストーカー。
 佳子がビビるほどのあれは、きっちり調べていないと書けないでしょう。送ったら読んでるのを知っているとか。
 2通目の届くタイミングとか。観察してたと思う。
 それに、郵便屋さんは1日1回だと思うのですよ。

 どちらにしても、椅子にいたかどうかにかかわらず、これだけ調べ上げられていたら、気味悪いです。